2015年7月13日月曜日

吉田秋生先生の「海街diary」

今日は「海街diary」の話です。かじった程度でお恥ずかしいのですが読んで頂ければ幸いです。
私は、毎週金曜日に娘の水泳教室に付き添っていき、娘が泳いでいる1時間の間は書店に行き本を眺めています。マンガはビニールをかけられ中を見ることはできないので、もっぱら小説、ビジネス書、実用書を手に取ります。中には「7つの習慣」やピケティの「21世紀の資本論」のマンガ版などわかりやすく楽しく読めるものもあります。最近は、お薦めマンガの第1話分位を小冊子にして試し読みできるようにしてあるものがあり、先日は吉田秋生先生の「海街diary」の試し読み小冊子を見つけました。

高校生の頃、吉田秋生先生の「BANANA FISH」がマン研の仲間内で大流行して回し読みしました。1985年から1994年まで別冊少女コミックで連載されていて、私たちが学校でキャーキャー言っていた頃は、まだ連載が始まったばかりでした。アメリカが舞台で謎の「BANANA FISH」をめぐる動きに少年アッシュと日本人の奥村英二が巻き込まれて行くハードボイルドな物語でした。
私は、そういうハードボイルドな物語よりも静けさ漂うミステリアスな「吉祥天女」や少女たちの心の動きを丁寧に描いた「桜の園」に心惹かれましたが、自分で所持していたコミックスはPFビッグコミックスから出版されていた「夢見る頃を過ぎても」「十三夜荘奇譚」「夢の園」という3冊の短編集でした。こちらは色々入っていて、特に心に残っているのは「風の歌うたい」という虫を擬人化して描かれた蜘蛛と蛾のお話です。吉田秋生先生は長編マンガの評価が大変高い先生ですが、短編も心にしみる粒揃いです。
「BANANA FISH」が連載を終了した1995年(平成7年)以降は吉田秋生先生の作品とはご無沙汰なわけですが、以降の作品というと「YASHA-夜叉-」「ラヴァーズキス」「イヴの眠り」など、読んだことはなくても、タイトルは知っています。どれも人気作品ですね。

「海街diary」の小冊子の内容は、子どもの頃家を出て行ったお父さんが死に、葬式に参列した三姉妹が、残された腹違いの妹を引き取るところまででした。父が死んだということを三姉妹が食卓を囲んで会話するシーンがすごくて、マンガというより映像で観たいと思わせる描き方をしています。そして長女の幸が遅れて葬儀に現れ、子どもに大人の仕事をさせようとする父の妻の兄に「それはいけません」と言い切る。幸のはっきりとした言葉と意見にぐっときました。山形の田舎町で葬儀の後父が好きだったという場所に姉妹4人が立つシーンはその会話も素晴らしいですが、アングルが見事で本当に映像のようだと感心しました。

映画では、長女を綾瀬はるかさん、次女を長澤まさみさん、三女を夏帆さん、腹違いの妹を広瀬すずさんが演じています。
映画のサイトはこちら↓
http://umimachi.gaga.ne.jp/
映画予告編はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=klRrF-EMvk4
キャストも豪華ですし、監督も是枝裕和さんですし大ヒット間違いなしかなと思いきや、観客動員数で公開日が同じだった「ラブライブ!」に負けたという報道がありました。ただ「ラブライブ!」は雑誌によるユーザー参加型のアイドル企画としてスタートしたゲームありアニメありのメディアミックスですから、固定ファンの数を考えても仕方のないことかもしれません。それよりも「海街diary」の映画は、良質な映画としてじわじわと支持が広がるよう祈っています。

2015年7月13日(月)