2015年7月8日水曜日

川原泉先生と「甲子園の空に笑え」

「3月のライオン」に引き続き、ママ友さんからの話題です。
先日、数日早い七夕祭りでマンガの話題で共通点のあるママ友さんとバッタリ会い、「『3月のライオン』読んだよ」と伝えると「私、去年出た川原泉の全集を買おうか迷ってるの」とのこと。
帰って早速検索してみると、全集ではなく傑作集でした。

白泉社サイトによると「川原泉傑作集 ワタシの川原泉」はⅠ~Ⅳ巻まで出ています。2013年に実施した川原泉先生のマンガ作品、短編部門41作品、連載部門9作品の中から読者WEB投票での上位になった作品を本にまとめたようです。

「川原泉傑作集 ワタシの川原泉」Ⅰ~Ⅳ巻までの収録作品は以下の通りです。
Ⅰ巻「美貌の果実ー10月はゆがんでる」「森には真理が落ちている」「空の食欲魔人」「フロイト1/2」「夢だっていいじゃない」「月夜のドレス」「COCOMじゃないし」
Ⅱ巻「オペラ座の怪人」「架空の森」「愚者の楽園ー8月はとぼけてる」「3月革命」「ヴァンデミエールー葡萄月の反動」「不思議なマリナー」「パセリを摘みに」「笑う大天使特別編」
Ⅲ巻「銀のロマンティック…わはは」「大地の貴族ー9月はなごんでる」「カレーの王子さま」「Intolerance…ーあるいは暮林助教授の逆説」
Ⅳ巻「甲子園の空に笑え!」「殿様は空のお城に住んでいる」「ミソ・スープは哲学する」「空色の革命」「アンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?」
このように収録されています。
白泉社の「読者が選んだ『ワタシの川原泉』結果発表」は、投票した方々のコメントがあり、楽しく読めました。
http://www.hakusensha.co.jp/40th/result.html

川原泉先生の代表作といえば映画化もされた「笑う大天使」でしょうか。お嬢様学校に内心なじめない3人の猫かぶり乙女が仲良くなり、学校で起きた事件を解決するお話です。
私の場合は、川原泉先生を受賞作品で好きになり、それから川原泉先生が「花とゆめ」でから他誌に移るまで熱心に読んでいました。その中でも、私の記憶の中では川原泉先生の初期作品が大きな存在感を持っています。何しろ、今でも大事に持っている川原泉先生のコミックスが「空の食欲魔人」「カレーの王子さま」「甲子園の空に笑え」だからです。

「悪魔を知る者」の和馬
似てませんが…「悪魔を知る者」の和馬さま小学5年生の時。

私の中でランクをつけるとしたら、3位は「悪魔を知る者」です。性格破綻者の和馬に翻弄されるヒロイン若菜の話ですが、雑誌掲載時中学生だった私は「和馬さまカッコいい!」と思ってしまったのでした。2位はデビュー作の「たじろぎの因数分解」、数学が苦手なヒロイン沙都子ですが、親の再婚で担任の数学教師が兄になってしまいます。因数分解をすらすらと解く先生の姿(沙都子の夢の中のことですが)が素敵でした。1位は初連載作品「甲子園の空に笑え」です。「甲子園へは何マイル?マイクロバスで行けるかな?」とニコニコかわいい豆の木高校野球部ナインが甲子園に行くお話です。監督同士の言い合いが楽しく、最後に泣かされました。
1983年HMC(花とゆめマンガ家コース)受賞作の「ジュリエット白書」は、1985年発行の花とゆめコミックス「カレーの王子さま」収録時に絵を全て描き直してしまったので、それが残念です。私は、雑誌を引っ張り出してコミックスと見比べてしまいました。2年程の間に随分絵が変わりました。その時にはその時にしか出せない味があると私は思うのですが…。
それから、雑誌掲載2作目の「メロウ・イエロー・バナナムーン」は、私の記憶では1983年のビッグチャレンジ賞の受賞作だと思うのですが、ネットで検索をかけても、残念ながらそこは確認できていません。

川原泉先生の作品は、独特の和やかさがありどの作品も素晴らしく笑えます。そして油断していると場合によってはラストで泣かされてしまう話もあります。主人公と誰かがお互いの意見を言い合うような、二人の人間の言葉を交わすシーン、または主人公のモノローグなど、その言葉の選び方使い方の川原泉節な所が魅力的なのだと思います。