2015年7月23日木曜日

日渡早紀先生と「ぼくの地球を守って」

今回は日渡早紀先生の「ぼくの地球を守って」についてです。
「ぼくたま」こと「ぼくの地球を守って」が連載を開始した頃、私は高校のマン研に所属していて、マン研のみんなで花とゆめを読んでいました。多くの人が読んだことのあるマンガだと思うので、詳細な説明の必要はないと思いますが、少しだけ説明させていただきます。

「ぼくたま」は1991年の東京を舞台にした物語でした。連載当初は1986年で「近未来サスペンス」と銘打っていましたが、この文章を書いているのが2015年ですから、既に24年の月日が流れてしまいました。「ぼくたま」は地球とは別の星の人間として生まれた前世の記憶を持つ7人の少年少女が、その記憶を思い出し、それゆえに現世で織り成すドラマを描いた物語でした。

「ぼくたま」は回を追うごとにみんなを夢中にさせ、迅八と一成の関係や、輪の行動の謎、紫苑の現世の姿などに期待が高まりました。春ちゃんの登場の回には、「やっと紫苑が出てきた!」とマン研では大騒ぎになりました。また、輪がバイク走行中の暴走族の松平タカシを超能力を使って脅すシーンが大友克洋先生の「AKIRA」のワンシーンを彷彿とさせ、同じ頃やはり、マン研で「AKIRA」が大人気であったことから、そのシーンに注目が集まりました。

連載が長期化し「ぼくたま」の世界が広がり多くのキャラクターが登場すると、田村さんが、紫苑が、キャーが、ラズロがというようにマン研内では各自にお気に入りのキャラクターが出来、玉蘭あるいは迅八が、多分もっとも嫌われたキャラクターだったと思います(笑)
また、前世の出来事を個々のキャラクターが持つ記憶としての回想シーンにとどめず、木蓮の物語や紫苑の物語が詳細に描かれることで読者がさらに木蓮や紫苑に感情移入し「ぼくたま」の世界観を感じ取れたのだと思います。
兎にも角にも、私の周辺にいた「ぼくたま」を愛する読者一人一人が各キャラクターへの思い入れを強く持ち、その物語の行く末を見守っていたのでした

1986年、昭和61年に始まったこの物語が完結した時には1994年、昭和天皇が崩御され昭和が終わり平成6年になっていました。手塚治虫先生や美空ひばりさんが逝去され、好景気に沸いた日本のバブルはどこかに消えていました。私は25歳になっていて、親しい友が一人永眠しました。私が少女マンガに夢中になった季節もここで一つ終わりを迎えたのでした。

3回に分けて日渡早紀先生の作品とそれにまつわる思い出を少し書かせていただきました。
ありがとうございました。読んで下さったあなたに感謝を込めて。
2015年7月23日(木)