2015年9月10日木曜日

水と萩尾望都先生

横浜では日曜日の夕方から雨が降り出し、時々止むことはあっても、4日間続いた雨でした。明日は晴れるという天気予報でほっとしました。

しかし、今日の常総市の鬼怒川決壊は信じられない出来事でした。まるで、2011年3月11日金曜日にリアルタイムでテレビに映し出された東北の津波を見ているようでした。水の恐ろしさを目の当たりにしました。

「モザイク・ラセン」の微晶湾、「銀の三角」の水辺、「マージナル」の洪水。
萩尾望都先生の作品には水辺が舞台のものや水がドラマティックに使われるものがあります。「銀の三角」の水辺では、番う季節のために禊を行い、「モザイク・ラセン」では、人々は微晶湾の周りに住んでいます。食(日蝕?)に湾の水かさが増し、黒の王は滅び、人々は恐怖から逃れます。「マージナル」は特に、子どもの生まれない男だけの不毛な世界の全てが洪水に呑み込まれ、命を宿す力のあるキラも呑み込まれていきます。そして再び、氷に閉じ込められていたもう一人のキラが地球に降り立ち、新しい命が生まれる予感を持って終わります。

水は、ただ怖いだけではないのですが、それでも今は、この長く続いた雨と溢れ出た水がこれ以上の災いを起こさないように祈るだけです。
2015年9月10日(木)