2015年9月17日木曜日

真夜中ではない「メリー・ゴーラウンド」

リボンで描いていた佐藤真樹先生の「月夜と音楽家シリーズ」をふと思い出し、調べてみました。私は、「月夜と音楽家シリーズ」の『真夜中のメリーゴーランド』だったと記憶していて、ネットで検索すると大橋トリオの『真夜中のメリーゴーランド with 手嶌葵』がヒットしました。仕方ないので「月夜と音楽家シリーズ」で検索すると、出てきました。図書館で所蔵されているマンガ、アニメーション、ゲーム、メディアアートが検索出来る「メディア芸術データベース」というのがあるのですね。初めて知りました。このサイトで、 1982 年の1月と2月に発売のリボンに前後編で掲載された佐藤真樹先生の『メリー・ゴウーラウンド』を見つけました。「真夜中」はついていませんね。「メリーゴーランド」ではなく「メリー・ゴーラウンド」でした。記憶というのは本当にいい加減ですね。でも、コミックスを持っていたわけでもなく、1982年の1月に読んだだけのマンガを33年後の今も覚えているのですから、まぁまぁの記憶力かもしれません。「メディア芸術データベース」では、検索できたのは雑誌のデータベースでコミックスの方は検索されなかったので、手に入った情報は雑誌の掲載マンガ一覧でした。コミックホームズさんのサイトの図書館版みたいな感じですね。

掲載マンガの一覧を見ると、太刃掛秀子先生の『風がはこぶだろう』、小椋冬美先生の『リップスティック・グラフィティ』、池野恋先生の『めちゃんこ教室』、小田空先生の『空くんの手紙』、萩岩睦美先生の『小麦畑の三等星』、金子節子先生の『どろんこアドバンテージ』などでした。タイトルのラインナップを見ただけで当時を思い出し、何だかワクワクします。池野恋先生は『ときめきトゥナイト』の連載前で、絵もかわいく、お話も楽しくて当時は大好きでした。『ときめきトゥナイト』はテレビアニメにもなり爆発的に人気が出たので実はちょっと苦手なんですが、当時はやっぱりテレビアニメが気になって時々観ていました。なぜかオープニングの歌詞もバッチリ記憶していて今でも歌えます…。十代の頃に覚えたものというのは結構覚えているものです。小椋冬美先生の『リップスティック・グラフィティ』は今もコミックスを持っています。普通のラブストーリーなのですが、小椋冬美先生が描くと絵も台詞もちょっとおしゃれというか、垢抜けた感じで憧れが強くて今も大好きな作品です。萩岩睦美先生の『小麦畑の三等星』は超能力のある女の子のお話で、萩岩睦美先生は作中に笑いをとるシーンもちゃんとあるのですが、話の核心に迫っていくと、なかなかシリアスな展開になっていったと思います。それは『銀曜日のおとぎばなし』もそうだったと記憶しています。

さて、肝心の佐藤真樹先生の『メリー・ゴーラウンド』ですが、どういう内容かざっくり説明します。というか、ざっくりしか記憶にありません。何しろ33年前ですから。
音楽家の男四人で暮らす家の前に赤ん坊が一人捨てられました。彼らはその赤ん坊を大事に育てます。赤ん坊は優しい娘に育ち、四人のパパの世話をしながら楽しく暮らしていました。ある時、よそからやってきた便利屋の青年と親しくなります。木馬は音楽家の家にあったのか記憶がはっきりしないのですが、古くなった木馬を便利屋をしていた青年が直してくれて娘は青年と親しくなります。娘は青年に「四人のパパと遊園地に行った時、メリー ・ ゴーラウンドに乗るとよその子は両親の立つ一箇所でしか手を振らないのに、四人のパパは分かれてメリー・ゴーラウンドの周りに立っていて、一人のパパに手を振り終わると次のパパに手を振り、そうしてずっと手を振りっぱなしで、自分には本当の親はいないけれど、四人のパパに大切に育てられて幸せなのだと分かった」という話をするのでした。しかし、青年は実の兄に追われています。青年の兄はピアニストで弟のせいで怪我をして二度とピアノが弾けなくなり、弟を恨んでいます。青年を追いかけ、落ち着いた街で弟の悪い評判を立てそこにいられなくなるように仕向けるのでした。青年は街を去り、青年に恋した娘は残されてしまいます。兄は娘と話をして、弟を恨むことをやめるんだったと思いますが…。娘は四人のパパを置いて家を出てはいけません。しかし、四人のパパはふさぎこむ娘に青年を追っていくように促し、娘は家を出て行く。というお話だったと思います。

この「月夜と音楽家シリーズ」は他に『猫語のシャンソン』『いつか聴いた歌』『星が音符になった夜』などありました。『星が音符になった夜』は体の弱い音楽好きの男の子を弟に持つ男の子とオーケストラメンバーの両親を持つ元気な女の子が知り合い、オーケストラのメンバーが男の子の家の外で演奏して男の子を元気付けるお話だったと思います。まぁ、古い記憶なので、間違っているかもしれません。大事にコミックスを持っている方には「なんてデタラメな説明だ!」と憤慨されるかもしれませんね。

でも、はっきりしているのは『メリー・ゴーラウンド』で遊園地で四人のパパに手を振るエピソードです。それから、さっきの説明には書きませんでしたが、青年が出て行ってふさぎこんだ娘を見て四人のパパが心配するシーンです。「どうしよう、娘があんなに悲しんでいる」と、四人のパパは娘に何をしてやったら良いのか四人で決めるのです。そして、娘を送り出すのです。じんわり心にしみる素敵なマンガでした。
33年前の記憶をたぐり寄せただけなのですが…佐藤真樹先生の『メリー・ゴーラウンド』は、とても素敵なお話でした。ずっとタイトルを『真夜中のメリーゴーランド』だと思っていましたけど。
2015年9月17日(木)