2015年6月27日土曜日

佐伯かよの先生と「マーメイド・レポート」

とうとうAmazonで購入してしまいました。
何かというと、佐伯かよの先生の「マーメイド・レポート」です。
もともとコミックスは持っていたのですが、引っ越しを機に悩みに悩んで処分しました。
でも、やっぱり読みたくなってしまい結局は再購入することにしました。

佐伯かよの先生といえば、有名な作品は「口紅コンバット」や「燁姫(あきひ)」でしょうか。
どちらも、派手な設定でドラマティックな展開のマンガです。
でも、どちらかというと普通の?少女マンガ好きな私は
1895年頃に少女マンガ雑誌「ひとみ」に掲載された「ドリームストリート」が好きです。
内容は、脚本家と女優の息子で映画監督志望のアレックスが
女優を目指すさえない娘ローラと出会い、やがて夢を叶えてゆくお話です。
アレックスの家に居候しながら、女優修行をするローラは
いつのまにか美しく変身し、夢を叶えます。
続編も描かれていてコミックスも2巻まで出ていますが続編の記憶はわずかです。
地道に努力を重ねるローラに、アレックスが気づいた時には
女優として成長したローラがいます。それが、私の心に強く残っています。
ローラの田舎娘ぶりは「ガラスの仮面」の大河ドラマで北島マヤの役を横取りしようと
田舎娘の振りをして付き人をしていた乙部のりえを彷彿とさせます。
とは言ってもローラと乙部のりえの共通点は田舎言葉とおさげ髪にそばかすだけでしょうか(笑)

でも、今回は「ドリーム・ストリート」ではなく、
「マーメイド・レポート」のお話です。

「ルルの王子様」のルル
ルル、真似て描いてみました。

子どもの頃から人魚好きだった私は、そのスタートはアンデルセンの「人魚姫」でした。
学校の図書室で借りたアンデルセン物語全集の「人魚姫」の挿絵に見とれていました。
東映まんが祭りの映画でそばかすもかわいかった「人魚姫」、
永井豪先生のマンガが原作のアニメ「キューティー・ハニー」も人魚に変身する回があり
魔女っ子アニメの「魔法のマコちゃん」も、もとは人魚で
ディズニー映画の「ピーターパン」では入り江に棲む人魚たちに憧れ
手塚治虫先生の「海のトリトン」もピピのかわいらしさに釘付けでした。
※高橋留美子先生の「人魚の森」は、マンガ作品としては好きなのですが
私が憧れている人魚とは違います。

そんな私が1977年、少女マンガ雑誌「りぼん」8月号に掲載された
佐伯かよの先生の「マーメイド・レポート」を見逃すはずがありません。
これぞ、人魚マンガ!とたちまち夢中になりました。
続編の「ルルの王子様」が1978年のりぼん夏の増刊号に掲載され、
更に「トロピカル・ファンタジー」が1979年りぼん9月増刊号に掲載されました。
この3編がコミックスの「マーメイド・レポート」に収まっているわけですが
続き物といっても、「マーメイド・レポート」は
海洋学博士で女嫌いのギルバートが人魚ミーアと恋するラブファンタジー、
「ルルの王子様」は二人の娘ルルが、両親のもとをこっそり抜け出して
人間の世界で少年に出会い恋をするお話です。
ルルの恋した少年は、若くして企業のトップに立つ天才少年実業家アルディです。
「トロピカル・ファンタジー」は、人魚ルルの息子でありながら泳げないルディの成長が、
養父と一緒に暮らす為に宝探しをする孤児の少年たちとの関わりの中で描かれています。
ルディが泳ぐ決心をする姿が印象的で、心に残る作品です。
恋愛は養父サムとジュリーの間で展開されています。
つまりは三世代ラブファンタジーですが、1作目の「マーメイド・レポート」は
女嫌いのギルバートが人魚ミーアとの関わりの中で変わっていく物語ですし、
「ルルの王子様」では、天才実業家として過ごし少年らしさと無縁のアルディが
ルルと出会って変わっていくお話です。
「トロピカル・ファンタジー」ではルルの息子ルディの成長物語ということで
3作とも男性が主人公で、その成長が描かれている作品なのです。
あの人は私をどう思っているのかとやきもきしたり、勇気を出して告白したりなどという
細かい恋愛心理描写をしている作品ではないのですが、
乙女心を惹き付ける佐伯かよの先生の美しい絵が堪能でき、
マンガならではの設定と展開で楽しませてくれます。

どこかに素敵な人魚マンガはないかと今も探していますが
「マーメイド・レポート」以上のものには今のところ出会えていません。