2015年6月26日金曜日

期待していた新人少女マンガ家、新堂栗子先生



先日、我が家の屋根でオナガがとまっているのを見つけて
ふと「バードウォッチングを題材にしたマンガというのはないのかな?」と考えたところ
まず思い出したのが夢路行先生の「鳥を見ていた朝」、
次に思い出したのが新堂栗子先生の「バードランド」でした。

夢路行先生の作品は「鳥を見ていた朝」に限らず、
ほとんど家の本棚にありますし、他に取り上げたい作品があるので、
今回は新堂栗子先生の「バードランド」について書かせて頂きます。

新堂栗子先生の「バードランド」は
LaLa DXの1999年5月号(4月10日発売)に掲載された作品です。
※「コミックホームズ」という白泉社系少女マンガ作品データベースのサイトから教えて頂きました。
サイト管理人の斎藤さま、ありがとうございました。
http://comich.net/

私がこのブログで紹介する少女マンガの中で
多分この新堂栗子先生が一番知られていない…というか
多分もう描いていらっしゃらないと思います。
もし、他誌で描いていてもペンネームを変えていらっしゃるのでしょう。
残念ながら、検索をかけても出て来ません。
LaLa DXや本誌のLaLaで何回か掲載されただけだと思います。
「コミックホームズ」さんのデータによると
LaLaDX 1997年5月10日号「DAZZLING SNOW」
LaLaDX 1997年7月10日号「夏が来るにはまだ早い」
LaLaDX 1998年5月号「オデット姫について」
LaLaDX 1999年5月号「バードランド」
LaLa 1999年12月号「ファンファーレ」
5作品が確認できます。
私は、LaLaもLaLaDXも欠かさず購読しているので
全て読んでいますが、今は記憶も怪しいところです。

その中でも1999年のLaLaDX5月号に掲載された「バードランド」が
とても好きで今も切り取って保管しています。

「バードランド」扉絵
1999年のLaLaDX5月号掲載 新堂栗子「バードランド」扉絵

新堂栗子先生の「バードランド」のお話の中には、タイトルの通り鳥が出て来ます。
主人公の多喜子は大人しい少女で、先月越して来た街で一人で鳥を眺めています。
今の生活になじめずにいますが、知らない男の子幸島くんに声を掛けられます。
多喜子は二重人格でもうひとりの人格キリエが現れている時の記憶がありません。
幸島くんはキリエの友達で、軽い感じの男の子です。
多喜子を気に入り一緒にバードウォッチングをするようになり、
二人で過ごすうちに多喜子も幸島くんを好きになります。
自分に自信のない多喜子は「消えてしまいたい」と思っていますが、
写真に写った幸島くんとキリエを見てショックを受け、ついには告白します。
幸島くんが自分を好きだと知り、自分の中からキリエが消えていることに気付きます。
空を飛ぶ白サギの姿を見て「もしかしてあれはキリエでしょうか」という
多喜子のモノローグで終わります。

絵も物語も派手さはありませんが、しっかりした作品です。
とにかく鳥が出て来ますし、多喜子の気持ちが丁寧に描かれています。
儚い希望ですが、コミックス1冊分ほどは作品を発表されているので、
どこかで出版されたら、嬉しく思います。