2015年6月19日金曜日

太刀掛秀子先生と「6月のシロフォン」

雨の季節といえば
太刀掛秀子先生の「6月のシロフォン」です。
これは、1977年に発表された「雨の降る日はそばにいて」の続編で
7年後の1984年に描かれています。
「6月のシロフォン」は、「雨の降る日はそばにいて」で恋人を亡くしたヒロインが、
明るいラガーマンの男の子に一目惚れされて、アタックされ
最後には心を開くというお話です。

「6月のシロフォン」
真似ようと努力したのですが、全く似ませんでした(泣)

赤い傘をさしたヒロインを見ると
オフコースの「雨の降る日に」を思い出します。

赤いパラソルには
あなたが似合う
雨の降る日は
いつでも
時はさかのぼる

何だか、「6月のシロフォン」にぴったりくる気がします。

ネットで検索すると、集英社コミック文庫のサイトのスペシャルコーナーで
『りぼん』創刊50周年&おとめちっく傑作選刊行記念壁紙ダウンロード」というのが
2006年に行われたようです。それが2015年のいまもサイト上に残っていて
太刀掛秀子先生の「6月のシロフォン」の壁紙が無料でゲットできます。

※この画像は壁紙を更に小さく加工しています。壁紙が欲しい方は上記のサイトへ

それに、この集英社コミック文庫の「秋への小径」りぼんおとめちっくメモリアル選には
表題作の「秋への小径」の他に「6月のシロフォン」と
単行本未収録の「セプテンバー・バレンタイン」と「星聖夜」が同時収録されています。
その「星聖夜」は活動を休止される前の最後の作品ということ、
それに、太刀掛秀子先生のあとがきと藤本由香里先生の解説もあり、
興味をそそられます。

それから、「青少年のための少女マンガ入門」というサイト(ブログ?)に
第12回 好きなものを大切に思い続ける勇気〜太刀掛秀子
というのを見つけました。

実に詳しく太刀掛秀子先生について語られていて、
中でも「6月のシロフォン」のコマ構成について解説してあります。
これを書かれたEikoさんという方が
花ぶらんこの魔法」という太刀掛秀子先生のファンサイトも開設しています。

太刀掛秀子先生といえば、
1973年に少女マンガ雑誌「りぼん」でデビューして以来、
1986年に「星聖夜」を最後に活動休止されるまで、大変人気のあった先生で、
かわいらしい絵柄に優しさが漂い、しっかりとした構成のお話で、
私は当時大好きで一生懸命読んでいました。
はっきり記憶しているのは「まりのきみの声が」からなので
それ以前は「りぼん」ではなく「なかよし」を購読していたと思うのですが
1977年に「りぼん」で連載を開始した一条ゆかり先生の「砂の城」第1回目を覚えているので「雨の降る日はそばにいて」「花ぶらんこゆれて…」も読んでいるハズ…。
「花ぶらんこゆれて…」は太刀掛秀子先生の代表的な作品ですが
タイトルは覚えているものの全く記憶にございません(泣)

私の記憶に残っている太刀掛秀子先生の作品を幾つか紹介します。

「まりのきみの声が」は、物語中に童話「きつねの窓」の話が語られていて
それがずっと記憶に残っていました。
きつねの窓は、藍色に染めた親指と人差し指で窓をつくると
その向こうに会いたい人の姿が見える…
きつねに指を藍色に染めてもらう猟師のお話です。

「青いオカリナ」は革命家と生き残りの貴族の娘の悲恋物語。

「ぽぽ先生がんばる」は、
新米獣医師ぽぽ先生が北海道で頑張る明るく楽しいお話です。
そして恋の部分では、しみじみと優しさ漂うお話です。
颯爽と馬に乗るぽぽ先生の想い人、颯子さんに憧れました。

「吉住くんのこと」は高校時代から仲の良かった吉住くんを
大学生になってから好きだと気付く女の子の素敵なラブストーリーです。

「ふたつのうた時計」は、中学生の男女の心が共鳴していく様子が
丁寧に優しく描かれている素敵なラブストーリーです。

「ひとつの花もきみに」は、脚本家を目指す主人公と同郷の造り酒屋の一人娘が
東京の大学生活で親しくなり、やがて別れを選ぶお話です。
二人は東京で同棲を始め貧しく暮らします。
いつか、街で偶然もらった1本のフリージアが彼女を喜ばせますが、
突然彼女は去っていきます。
後に主人公は、彼女が実家の造り酒屋の経営不振を見過ごせず
政略結婚のために実家に戻ったと人づてに知るのでした。
フォークソングが大好きという太刀掛秀子先生が
目一杯フォークソング調に描いたのではないかと思わせる
優しくも悲しいお話です。
私は、このお話で始めてフリージアの花がどんな花かを覚えました。
確か文月今日子先生も「フリージアの恋」というお話を描いていて
私は、その本を持っていたのですが…全く記憶にないのでした(苦笑)

上に紹介した他にも1973年〜1986年までの間に、
太刀掛秀子先生が発表された数々の作品があります。
その作品のひとつに、あるいは全てに
心動かされた少女たちがたくさんいただろうと思います。
私もそんな一人でした。