2015年11月18日水曜日

少女マンガのテニス

一昨日深夜、見るともなしにテニスの試合中継を見ました。イギリスのロンドンで行われている「APTワールドツアー・ファイナルズ」でイギリスのアンディ・マレーがスペインのダビド・フェレールをストレートで破った試合でした。そこで、ふと、テニスが描かれたマンガについて考えてみました。
もちろん、「少女マンガで描かれたテニスについて」です。 許斐剛先生の『テニスの王子様』とか勝木光先生の『ベイビーステップ』などは範疇外です。何しろテレビアニメしか見たことがありませんので。

テニスを描いた少女マンガといえば、言わずと知れた山本鈴美香先生の『エースをねらえ!』ですね。まずは小学生の頃にテレビアニメの再放送を熱心に見て、それから中学生になり同級生にマンガを貸してもらいました。私に『エースをねらえ!』を貸してくれたその同級生は、短編のマンガというものを知らず、マンガというのは全て何巻も続く長いものだと思っていたのが印象に残っています。ヒット作なのですから当たり前なのですが、とても読みごたえのある内容で、夢中になって読みました。
それから、羅川真里茂先生の『しゃにむにGO!』。少女マンガでテニスなのに、主人公は男の子…羅川作品は男性主人公が多いですね。『赤ちゃんと僕』『ニューヨーク・ニューヨーク』『いつでもお天気気分』『ましろのおと』(※『ましろのおと』は少年マガジン掲載の三味線マンガです)本来なら女の子読者にとって男性主人公のマンガは少し感情移入しにくいかもしれませんが、グイグイ進んでいくそのストーリーにがっちり心をつかまれます。羅川真里茂先生のマンガはどれをとっても面白いと私は思います。

そんな有名なテニス少女マンガとは別に、私の印象に残っているのは今里孝子先生原作、萩尾望都先生作画の『マリーン』です。初めて読んだのは小学館文庫の「続・11人いる!」に同時収録されていたものでした。それから、萩尾望都作品集 第二期9巻の「半神」で読みました。
主人公は貧乏な少年エイブ。病気の母のために薬を買おうとするエイブに、これで薬を買うようにと片方のイヤリングを渡すマリーンと名乗る女性。「もう片方のイヤリングは船においてきてしまったの」そう言ったマリーンは、エイブが母を亡くした後も度々彼の前に姿を現し、彼を励ましてくれます。エイブはやがてテニスの才能を見出されプロテニスプレーヤーになります。そして、エイブはマリーンが貴族の娘ビクトーリアであることを知り、貴族でありアマチュアテニスチャンピオンのビンセントという許婚がいることを知ります。エイブはビンセントに招待され、結婚式を挙げたばかりの客船の中でビンセントとテニスの試合をすることになります。しかし、ビクトーリアはその時初めてエイブのことを知り、心を奪われ、婚約者のいる身を嘆き、船から海へと身を投げたのでした。小さな時から彼の前に現れ助けていたマリーンとは…という物語です。
決してテニス中心の物語ではなく、エイブとマリーンの切ないラブストーリーなのですが、孤児であるエイブがのし上がる武器としてテニスがあり、プロとアマチュアの対決、貴族と貧しい者との対決としてテニスが印象的に描かれています。
2015年11月18日(水)